アメリカでは2023年9月から新型モデルが登場
ジープ(Jeep)ブランドを象徴するモデルと言えば、本格派クロスカントリーSUVの「Wrangler(ラングラー)」もその一つです。
ジープの起源は、1940年に米国陸軍が要請した受注入札に応じた3社が共同開発し1941年に発表された四輪駆動の小型トラック。多用途に使えて、どんな路面状況でも走破可能な「軽偵察車両」にあります。
「ラングラー」という車名自体は、1987年に誕生したYJ型から採用されています。現行モデルは2018年に誕生した第4世代のJL型です。その第4世代のデビューから5年を経過した2023年には、2024年モデルからマイナーチェンジ型へ移行することが本国アメリカで発表され、昨年9月からデリバリーも開始されていました。
ついに日本国内にも新型「ラングラー」が登場
そして、2024年5月10日(金)。日本市場にもついに新型ジープ「ラングラー」が発売されました。ラインナップは、「Unlimited Sport(アンリミテッド スポーツ)」「Unlimited Sahara(アンリミテッド サハラ)」「Unlimited Rubicon(アンリミテッド ルビコン)」の3グレード。新たに購入しやすい価格帯のエントリーグレードが設定されています。最低価格は799万円からとなります。
本国モデルでは、PHEV(プラグインハイブリッド)の「4xe(フォーバイイー)」ももちろんラインナップされていますが、国内向けモデルは全グレード直列4気筒DOHCエンジンを搭載しています。
一見あまり変化のないように見受けられるかもしれません。ですが、ジープの象徴である「7スロットグリル(※編集注:7つの開口部を持つフロントのグリル)」が2023年発売の「ルビコン誕生20周年記念限定車」と同じデザインとなり、黒を基調としたデザインで一段と精悍(せいかん)な印象にしあがっています。
今回の2024年モデルで最も変化を感じさせるのは、ディスプレイモニターの大型化でしょう。従来の8.4インチから12.3インチへ飛躍的に拡大し、視認性が向上しています。スマートフォンの接続もUSB方式からBluetooth方式となり、スマホ本体の置き場に難儀することもなくなりそうです。
デザイン的にもメータークラスターと一体感があり新鮮味を感じます。また、日本仕様でどこまで対応するかは未知数ではありますが、通信による車載ソフトウエアのアップデートも可能となっています。
インテリア細部を見てみると、室内灯の数が増えました。こうした細部の改善はユーザーの声を反映したカタチと言えるでしょう。日本仕様のモデル構成と詳細な装備内容は正式発表を待つ必要がありますが、昨今の資源価格の高騰から本国ではわずかながら値上げされています。
本格仕様のスペックが
本質を求める暮らしに寄り添う
日本におけるJL型「ラングラー」の本格デリバリーが始まったのは、実質的に2019年です。それ以来、2023年までの販売台数実績はジープブランドの中でNo.1を誇ります。その秘訣(ひけつ)は何でしょうか?
まず要因の一つは、世界的知名度にあるでしょう。軍用車両が起源とは言え、丸いヘッドライトと特徴的な7スロットグリルはもはや愛くるしいキャラクターの一種とも言えます。そのブランド力は絶大なものがあります。
もはやブームではなく、広く浸透した感のあるSUVという車型の存在もあるでしょう。特に、セダンなどから乗り換えても不自然な印象のないシティ派SUVは数多く登場していますが、その中に合って「ラングラー」は際立つ存在です。
このモデルの特徴は、ジープの歴史を濃縮したタフな車づくりにあります。強靱(きょうじん)なラダーフレームはボディパネル自体を構造材とする主流のモノコック構造と異なり、万が一キャビンがつぶれても走れます。
サスペンション方式も、トラディショナルなリジット式を伝統的に採用します。このリジット式とは、左右輪が一つの軸で結ばれていて各輪が独立して動きません。つまり、公園の遊具にあるシーソーのような動きをするのですが、それによって片方のタイヤが宙に浮いても、反対側の車輪を地面に押し付けるので駆動力を得られるというメリットがあります。
また、基本的にシンプルな構造で強度があり、メンテナンスや修理も合理的に行えるという点も人気の秘訣かもしれません。とは言え、正直に言えばこの車をオフロードコースに乗り入れてクロスカントリー走行を楽しむユーザーは、きっと少数派でしょう。それでもあえて「ラングラー」を選ぶのは、本質を求めるライフスタイルそのものにありそうです。
無論、日常ユースへの最適化はジープ側も理解するところです。2024年モデルはエアバッグの増設など安全装備の充実に余念はありません。シンプルに「憧れのジープに一度は乗ってみたい」と思い、購入しても後悔はないと思います。
日本での新型「ラングラー」価格は?
そして気になるのが日本市場での販売価格です。
エントリーモデルの「Unlimited Sport(アンリミテッド スポーツ)」は799万円から。ミドルグレードとなる「Unlimited Sahara(アンリミテッド サハラ)」は839万円から。最上級グレードの「Unlimited Rubicon(アンリミテッド ルビコン)」は889万円からとなります。
また、新型モデルの発売を記念して2車種の限定モデルが登場します。その一つ、「Unlimited Sahara ローンチエディション」が300台限定で849万円。もう一つがビビッドな黄色のボディカラーをまとった限定モデルの「Unlimited Rubicon High Velocity(アンリミテッド ルビコン ハイ ベロシティ)」で、こちらは10台限定の抽選販売モデル。Jeepの専用サイトで2024年5月17日(金)まで受付中で、価格は899万円です。